2013年7月30日火曜日

不妊治療の話その1

 最近不妊治療の公費助成の年齢制限が話題となっております。
先日の報道では流産率の問題から43歳未満(42歳)までと合意されたと聞いております。

 こういう話題は医療制度的な側面があるので、年齢制限の問題とか何回までとか言う話はせず、ここでは妊娠における身体を養うお話をざっくりとします。


 不妊治療とっても病院でやるものは、体外受精させて子宮に戻して着床するかどうかということをやっているものです。それは受精卵が着床するかどうか、または着床して妊娠維持するかどうかは運に任せているという感じがしております。
確率をあげているだけという印象です。(重要ではありますが・・・。)

 東洋医学的な不妊治療とは、身体とくに妊娠を維持する為の機能を養う事です。
つまり、赤ちゃんを受精して着床させて、母胎(子宮)で養い育む力をつけていくと言う事が不妊治療となります。

 妊娠しにくい方は、身体自体をつくる大元としての精の消耗があって、子宮や卵巣への血流がストレスや緊張等様々な原因で低下したり滞ったりしてる可能性があると考えます。精の消耗は、肉体過労や心労、房事過度といってセックスやオナニーのし過ぎなどや、安逸過度とって極端な運動不足などでも起ります。

 現代人で多いのは頭で抱える事が多すぎて心労・精神疲労するのに加えて、運動不足によって精が活発になれない状態が多いのではないでしょうか。それに加え女性は会社や電車等様々んところで身体が冷える事で子宮などが張ったりして常に負担がかかる状況によって、生理不調なども起り、子供を養う土台である子宮が元気で活発な状態になれない事が考えられるのではないでしょうか。


 妊娠するには子供に分け与える精が充実していて、常に子宮・卵巣が毎月の生理の血(陰血と言います。)によって養われて余力がある事が重要となります。
その為、東洋医学的な不妊治療と言った場合は、精と陰血の状態を良くする為に身体を作るとものとなります。身体のバランスを取って、滞ってる所に気血を巡らせて徐々に養う治療です。精の消耗を回復させたり、生理の不調は数回の治療などでは出来ません。極端に言えば数ヶ月から1年位は精や陰血の状態を良くする身体を作るという感覚が必要となります。

しかも、治療したから必ず妊娠するとは言い切れません。
なぜなら、身体が妊娠出来る所まで養われているかは個人差もかなりあり、ご本人の状態しだいなので、薬を飲む様な感覚で絶対とは言えない事は理解してください。

 しかし、身体を作る治療で身体が充実する事は実感できますし、それによって妊娠しやすくなり、妊娠しても流産しにくい身体になる事は経験上確かです。また、病院での体外受精での着床・妊娠の確率も上がり、妊娠維持する確率も格段にあがると考えられます。
(実際、最後のかけとして鍼灸治療を続けた事で卵子の状態が非常によくなったと病院の検査で言われ、その後、妊娠したというデータもあります。)

 ここでお話ししたい事は、妊娠出来ないには、そういう身体の状態があるんだと言う事を理解して頂きたいと言う事です。精や陰血が充実していない状態が妊娠しにくいんだということで、運が良い悪いというものでは無いと言う事です。

 不妊治療を視野に入れていらしてる女性の患者様が増えて来ています。
妊娠を考えていらっしゃる方は、年齢に関わらず、まずは身体を養って、時間がちょっと掛かってしまっても精や陰血を養う事が妊娠には必要なんだと言う事を心に留めて頂けたら幸いです。

不妊に関しては、色々話しができるので、またお話します。


康鍼治療院
鈴木康玄







2013年7月29日月曜日

蒸し暑さ

 蒸し暑いこの季節、体調不良を起こす方が多くなります。
(ここでのお話は暑さよりも、湿気による蒸し暑さを主体としたお話です。ほんとは梅雨時期のお話です。)

 湿気は不快だけでなく、身体には「怠い」「重い」という感覚とともに「浮腫」などを起こし易くなります。「下痢」したり、「煩熱」といって熱が籠った感じがして「喉・鼻が腫れや痛み」が出る事も。

 これは汗が出にくいという事が原因となります。
”外湿”と言って外気の湿気が多くなると、皮膚表面から蒸発・発散される汗が出にくくなります。そうなると皮膚から出ない汗はお肌の部分に停滞することになり「身体が重い」という感じになってきます。そして湿気の停滞が進むと「浮腫」に発展してしまいます。

  また、皮膚から発散される汗は元々は胃腸から飲食物を取り入れて吸収された水分です。外へ排泄される水分の流れが停滞する事で、吸収する胃腸の方も働きが停滞してしまいます。胃腸が停滞すると、エネルギー補充が弱るので「怠い」という状態になってしまいます。

 そもそも汗は身体の熱を調節する為の機能です。(排泄として老廃物も一緒に出ます。)皮膚表面の陽気と津液の津という体液によって身体の熱を汗として調節しています。
汗が出ないだけで身体の熱発散が出来なくなるので、熱が籠った感じがする様になるのが「煩熱」です。

 暑いし、熱が籠るのから冷たい物をガンガンに飲食すれば胃腸が冷えてやはり下痢になったり、クーラー等でガンガンに冷えると汗がでないどころか身体が冷えて風の初期症状の様に鼻や喉の症状が出てきてしまいます。夜のクーラーで喉がガラガラになる人も多いです。

よってこの季節は汗のコントロールと胃腸を冷やさないというのが重要な季節なります。

 汗を発汗させる為には、まず一日の中で必ず汗をかくべく少し運動する事が良いと考えられます。特に朝一の散歩やジョギングなどで寝てる間に排泄しきれない水分を出してしまうと一日が調子良いかと思います。または仕事終わった後のちょっとした運動。
筋肉を使って熱産生することでクーラーで冷えた身体の代謝も上がり老廃物も出易くなるので一日一回は身体を使って汗をかく事。

 また、暑くても吸水性の良い綿素材やリネンなどの長袖を来ている方が皮膚の汗を吸ってくれるので、身体の状態は良くなるかと思います。電車やクーラーの中で冷える事を避ける意味でも、何か長袖の羽織ものを持っている事をお勧めします。

 最後に暑い時こそ温かいお茶です。(ぬるくても良いです)
おばあちゃんの知恵の様ですが、胃腸を冷やさない方が怠さや体力低下を防げるのと、緑茶等は清熱作用があるので、この季節は良い飲み物です。

 夏本番前の湿気の季節を乗り切る為には汗のコントロールと胃腸を冷やさないのが基本です。湿気の多い季節をこの様に乗り切ると、夏の暑さ本番の時にも暑さに負けない身体になって行くと考えられます。

 うちの鍼の師匠は、胃腸を冷やしちゃいけないと言っても「ビールはしょうがない」って常々言っておりましたけどね(笑)


康鍼治療院
鈴木康玄



 



2013年6月13日木曜日

治療院9周年ありがとうございます

本日6月13日で康鍼治療院9周年となりました。
 ありがとうございます!!

東洋思想では、
「一は天、二は地、三は人、四は時、五は音、六は律、七は星、八は風、九は野に象(かたど)る」
とあり、
自然の原理は1〜9までの数が基本で、天地の数に応じていて、基本数の9を9倍すると81で、これが万物の基本となるとあります。

9つが一つの単位の一区切りと言う事です。

今思えば、経験も知識も半端なままで開業して、それなりの苦労もして来ながら勉強勉強・成長成長で年を重ね、ここ数年でやっと自分が追求し解りたかった事が解る様になってきたと共に、最近になって色んな発展が見える様になって来ました。
 東洋的な9の意味の最初のタームの区切りとなる治療院9周年を迎えるにあたって、丁度今まで見て来たものとは違う段階に入って物事を見る様になって来た感じがしております。
 
これもすべて康鍼治療院を通して関わってくださった患者様や康塾生・地方のセミナー参加者、色々コラボレーションしてくださっているボディワーカー・インストラクター・トレーナーの方々のお陰です。

本当にありがとうございます。


東洋医学という枠だけで無く、人間の成長に必要な事をテーマに、治療や勉強会などだけでなく色々な事を提供・発信出来る様に、更に色んな興味と人間探求の為に経験を重ねて参る所存です。
これからも皆様からのご指導ご鞭撻を頂ければ幸いです。 

今後とも康鍼治療院をよろしくお願いいたします。



康鍼治療院
院長 鈴木康玄

 

2013年1月14日月曜日

成人の日

今日は成人の日。

言葉からすると「人と成る」という意味。
昔の元服の儀が数えで女子13歳・男子15歳辺りに行われてたというのは生殖能力が機能する年頃として成人扱いに成ってたのかと思われます。が、ここでは20歳という年齢を成人とするのは、人としての心と身体のバランスとれ完成されるという事としてとらえお話しようと想います。

陰陽バランスからすると、子供の時期は陰としての肉体が出来ておらす、体や心の働きや動きとしての陽が活発な為変動が多く、風邪引いたらすぐ熱がでたり体調崩しやすいバランスと成ります。また、色んな事を経験し学ぶ事と体が出来上がるのが同時に起こっている為、常にバランスを崩しやすいとも言えます。

成人するというのは、その肉体を作る(陰)と心身の働き(陽)のバランスが調和する年頃と言えます。小児の病などは陰と陽のアンバランスから起こる事が殆どなので、大人に成ると以外と子供の頃の病や症状が出なくなる事が多いのは其のためです。

勉強会などで先輩先生から聞いた話によると、アトピー性皮膚炎などの小児に起こる疾患は、どんなに酷くても放っておけば20歳に成る頃には殆どなおってしまう事が多いというデータがあるとの事でした。ただし、それまでにステロイド剤などを使ってしまうと、大人に成ってもアトピーが治らないという事になってしまうとの事でした。

人の体は、陰陽のバランスがとれていれば、身体自体の回復機能で様々病気・症状が治っていくものです。其の意味で鍼灸や東洋医学の施術は、陰陽のバランスを整えるのが治療ですので、薬を使わないで済む為、小児・子供の病などには打ってつけの治療と言えます。


現代は昔と比べて、劇的に情報量が多く頭を回転させて使わなくてはならない比重が多い割に、昔ほど体を使わない時代だと言えます。私が成人式を迎えた20年前と比べても、頭と体を使う比重は激変してるのでは無いでしょうか?!

情報が多くて、知識で知った気になって、自分で動いて何かを経験したりモノにしていく事が少ない若者が多いと感じます。ネット社会で情報をチェックする行為は、肉体的な経験としてはただパソコンに向かっているだけの事。色んな事を自らの肉体を使って経験しない人は、肉体も使わないし心も豊かにはなりません。

東洋医学では、自分の中にある志を行動に移して色んな経験をする事が心が豊かになる事であり、元気に生きる事になると捉える陰陽五行の考え方があります。

新成人の若者には、どんどん自分の中にある「気になる事」や「興味ある事」をやってみたり、行ってみたりして経験するなかで自分が出来る事ややれる事を築き上げて、どんな時代社会でも軸のあるブレない生き方をしていって欲しいと考えます。


康鍼治療院
鈴木康玄


2013年1月13日日曜日

寒さと顔について

今年の年明けは結構寒い日が続いています。

こんな寒い中では厚着をして冷えない様にする事で寒さ(寒邪)にやられない様にする事ができます。極寒の中でも着込む事で大方大丈夫というのが人の身体です。

ですが、顔だけはどんな寒い所でも出ているのが普通だと思います。
なぜ顔だけが寒い中でも平気なのでしょうか?!

東洋医学では、体を動かし温める気を陽気と言います。
多く陽の気が体を巡るのが陽の経絡(六腑の経絡)です。
陽の経絡は手から上って足へと降りていく流れとなりますが、この陽の経絡の切り替わりがすべて目の周りを中心とした顔の部位で行われています。
それ故に、顔は体の中でも一番陽の気が集まる場所なので、外の体の部位よりも寒さに晒されても大丈夫という訳です。

私は冬でもスクーターや自転車で移動しますが、スクーターでは半キャップのヘルメットなのでこの冬の寒さで顔は痛く、鼻がひん曲がるほど冷えてしまいます。
歩きの場合は耐えられるんですが、バイクで顔だけ出てるとさすがに耐えられません(笑)

其の場合、マスクなどで顔を覆う事でしのいだりしてるんですが、顔がそのように冷えてしまうと体も強張ってしまいます。身体の陽気が集まる場所が冷えきってしまう為に全身が寒さで固まってしまうんですね。
それを簡単に解消することは、顔を温める事。
外から戻ったらお湯で顔だけ温めるべく洗ってみてください。

顔が温まると思いのほか体の強張りがとれてきますのでお試し在れ。



康鍼治療院
鈴木康玄



2013年1月5日土曜日

あけましておめでとうございます


あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。

 今年は干支では、「癸巳」という年です。

 「癸」の字は、「揆」(はかる)の意味で、陰陽五行で「水」性の陰に当たります。植物の内部にできた種子が大きさを測れるまで大きくなった状態を表しているそうです。
 「巳」の字は「止む・終わり」意味で、陰陽五行で「火」性の陰に当たります。今までの動きがいったん止まり新たに出発するという意味です。

 陰陽五行では、水剋火といって水が火を抑制したり状態を決める関係にあります。

 それらからすると、今までの流れや動きが止まり、内に育んできたモノが新たにスタートする意味の年と言えそうです。
 今までの常識や価値観のままでは行かなくなるような象徴的な出来事として一昨年の震災が起こって、昨年でその常識や今までの価値観が問い質され、これからに必要ない物は壊れ始めた感じがします。其の分、”いのち”や”こころ”の大切さを皆が痛感してきたのでは無いかと感じます。

 今年は、内には育まれた”いのち”を軸に、文字通り”いのち”を活かす事が必要になる時代と考えます。”いのち”を活かす事が元気に生きる事です。

 元気に生きる為の治療や情報や経験の提供が出来る様、康鍼治療院では様々な事を行っていく所存でございます。今年はマメなブログ更新もしていくつもり(笑)ですので、今年もよろしくお願い致します!!


康鍼治療院
鈴木康玄